2014年までに科学論文の出版で二番目に大きな影響力を持つ見通しとなった中国
2012年5月23日
Nature と Nature 関連誌に掲載された中国の論文の占める割合が6%を超えたことが、5月24日に Nature の付録として発行された Nature Publishing Index 2011 China で明らかになりました。この付録には、中国が科学出版と科学研究の世界的なリーダーへの歩みを加速させていることを示す証拠が数多く含まれています。
2011年に Nature と Nature 関連誌に掲載された3,425編の論文のうち、中国の著者による論文は225編(6.6%)で、2010年の152編(5.3%)を上回りました。2000年にはわずか12編であったことを考えると、大きな躍進です。特に注目すべきは、2011年に掲載された225編の論文のうちの48編が、2010年4月に創刊された Nature Communications に掲載された点です。
Nature Publishing Index 2011 China には、ISI Web of Knowledge のデータに関する新しい分析も示されており、世界で最も被引用数の多い科学論文の10%以上が中国から発表されていることがわかります。被引用数が上位1%グループの科学論文において中国の論文が占める割合は2001年の1.85%(6,874編のうち127編)から2011年には11.3%(10,238編のうち1,158編)に上昇しました。2014年までには、中国がドイツ(現在2位)と英国(現在3位)を抜く可能性がある、と Nature China と Nature Publishing Index 2011 China のエディターをつとめる Felix Cheung は話しています。世界で第1位の米国は、上位1%グループにおけるシェアが減少傾向にあり、2001年には64.3%(6,874編のうち4,420編)だったものが、2011年には50.7%(10,238編のうち5,190編)となっています。
また、Nature Publishing Index 2011 China からは、中国国内の投資、研究機関と都市が中国の急速な科学の躍進に寄与している様子がうかがえます。
2011年の研究機関別ランキングにおける中国の上位10機関は、中国科学院(CAS)、中国科学技術大学(USTC)、北京大学、清華大学、香港科技大学(HKUST)、アモイ大学、上海交通大学(SJTU)、香港大学(HKU)、南京大学、北京ゲノム研究所深圳です。
トップを行く中国科学院の成果は目覚ましく、2011年には、Natureブランドの基礎研究ジャーナル誌に62編の論文を発表しました。ただし、こうした成果は、100か所以上の研究機関と50,000人近くの研究員を擁する中国科学院にとって、さほど意外な結果ではないのかもしれません。一方、大学の中では中国科学技術大学がナンバーワンとなりました。「一般には、北京大学と清華大学が中国を代表する『2大大学』と考えられています。中国科学技術大学には、この2大学ほどの名声がありませんが、質の高い研究論文の発表という点では、この3大学が同じレベルにあるというのが現実です」と Cheung は説明しています。
Nature Publishing Index 2011 China には、都市別ランキングも掲載されています。2011年に質の高い基礎研究論文を発表した機関が所在する都市のトップ10は、北京、上海、合肥、香港、南京、武漢、厦門(アモイ)、杭州、深圳、西安でした。これら10都市で、2011年に Natureブランドの基礎研究ジャーナル誌に掲載された中国の論文の約86%を占めており、中国の研究機関別ランキングの上位20機関のうち19機関までが立地しています。
Nature Publishing Index では、2011年に Natureブランドの基礎研究ジャーナル誌(18誌)に掲載された論文数に基づいて、国別と研究機関別の研究論文産出数を測定し、比較のために、2010年と2009年のデータも掲載しています。「Nature Publishing Index 2011 China は、独自の方法で、中国の研究機関と都市における質の高い研究論文の産出数を評価しています。我々は、このインデックスのデータを解析し、各研究機関と都市のさまざまな強みを評価しました」と Cheung は話しています。
Nature Publishing Index 2011 China は、本日、Nature の付録として発行され、オンラインで入手できます(www.natureasia.com/en/publishing-index/china/supplement2011/)。ランキングは、2011年に誌上発表された論文に基づいた「スナップショット」であり、比較のために、2010年、2009年の各データと2009~2011年分を合計したデータも掲載されています。このインデックスは、毎週更新され、www.natureasia.com/en/publishing-index/china/で最新のデータを入手できます。
Nature Publishing Index に関する注意点:
このインデックスの結果の利用に関しては、若干の注意点があります。このインデックスは、Nature および Nature 関連誌(17誌)のみを対象にしているため、生命科学、物理科学、化学の基礎研究を幅広くカバーする反面、応用科学、工学、臨床医学は、それほどカバーできていません。したがって、質の高い基礎研究に関する各研究機関の強みを示す指標として主に利用されることを推奨します。このインデックスには、その他の質の高いジャーナルに掲載された論文が組み込まれていません。また、このインデックスは、複数の特定のジャーナルに掲載された論文数という単一の要素しか考慮に入れておらず、上海交通大学高等教育研究所による世界大学ランキング(Shanghai Academic Ranking of World Universities)やタイムズ・ハイヤー・エデュケーション世界大学ランキング(Times Higher Education World University Rankings)のように、複数の要素を重みづけしていません。 論文産出数は、明らかに研究機関や国の規模に依存しています。また、一部の研究機関には、大勢の研究者が所属しており、それがランキングでの順位アップにつながっています。したがって、このインデックスの結果を解釈する際には、研究機関や国に所属する研究者の数を考慮に入れることが大事です。
Nature Publishing Index Global 100(ベータ版)(www.natureasia.com/en/publishing-index/global/)には、2011年に Nature および Nature 関連誌に掲載された論文の数によって作成された上位100研究機関のランキングがまとめられており、2011年に Nature および Nature 関連誌に掲載された論文の著者が所属する世界の研究機関2,500か所以上を網羅したベータ版ウェブサイトに基づいています。Nature Publishing Index Global 100(ベータ版)は、デジタル・サイエンス社(マクミラン・パブリッシャーズ社の姉妹部門)との共同制作です。
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※本プレスリリースの原本は英語であり、日本語は参考翻訳です。
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