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血液のがんの薬が、エリテマトーデスにも効く可能性

Nature Medicine

2008年6月9日

A drug against blood cancer may also fight lupus

Nature Medicine

多発性骨髄腫という白血球のがんの治療に使われる薬が、慢性自己免疫性疾患であるエリテマトーデスの治療にも有効かもしれない。この知見は、抗体がかかわる他の病気の治療法に結びつく可能性がある。

重症筋無力症や全身性エリテマトーデスのような病気は自己抗体が原因で起こるが、これを作るのは寿命の長い免疫細胞で、タンパク質生産を非常に盛んに行っている。骨髄細胞はプロテアソーム阻害剤による治療に反応し、その感受性はタンパク質合成の速度と相関していることから、R Vollたちは、エリテマトーデスに似た病気のマウスでも、これらの阻害剤が自己抗体産生細胞に対して同様な作用を示すだろうと考えた。

Vollたちは「エリテマトーデス」の症状を示す2系統のマウスを用いて、多発性骨髄腫の治療薬として認可されているプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブが、自己抗体の生産を阻害し、マウスの生存期間を延ばすことを明らかにした。つまり、プロテアソーム阻害剤による自己反応性プラズマ細胞の除去が、抗体のかかわる病気の新しい治療法になる可能性がある。

doi: 10.1038/nm1763

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