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補体が腫瘍の免疫回避を後押しする

Nature Immunology

2008年9月29日

Complement enhances tumour evasion

Nature Immunology

免疫センサーの活性化と腫瘍の免疫回避能力との間に、不合理に思える結びつきがあるとの報告が寄せられている。この意外な知見によって、がんの治療薬の新しい標的が浮かび上がった。

補体系は、免疫系に感染の存在を警告する火災報知器の働きをするタンパク質カスケードである。奇怪なことに、補体系タンパク質の1つであるC5の活性化が、実際には抗腫瘍免疫応答の抑制につながることを、Lambrisたちが明らかにした。

この驚くべき現象の原因は、活性化されたC5が腫瘍部位に「サプレッサー細胞」を誘引するのが観察されたことで説明できる。このサプレッサー細胞が他の免疫細胞に働きかけて機能を抑え、腫瘍の破壊を止めさせる。特に重要なのは、マウスでC5の活性を阻害すると腫瘍の成長が遅くなることで、この治療の効果は広く利用されている抗がん剤の1つタキソールと同程度であることがわかった。

doi: 10.1038/ni.1655

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