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【動物学】年少の個虫に操縦を任せて移動する海洋浮遊生物

Nature Communications

2015年9月2日

Zoology: Marine plankton let the young do the steering

Nature Communications

クラゲのような生物種で、移動性の高いphysonect siphonophore(クダクラゲ目の動物)のコロニーが海中を移動する場合、年長の個虫が強力な推進力を生み出し、コロニーの前面に配置された年少の個虫が舵取りをすることが分かった。このように異なる発生段階にある個虫間の役割分担は、コロニーの繁栄にとって非常に重要なことと考えられている。この研究結果についての報告が、今週掲載される。

Siphonophoresは、クラゲ、イソギンチャク、サンゴと近縁のゼラチン状の浮遊生物で、動物の中で最も複雑なコロニーレベルの構造を有している。その一種であるシダレザクラクラゲ(Nanomia bijuga)は、食欲旺盛な捕食者で、ある程度の数の個虫(特化した個体)によって構成されており、それぞれが生き残りのために協働している。このコロニーの前面には遺伝的に同一な個虫が連なって分布しており、泳鐘と呼ばれる。泳鐘は、シダレザクラクラゲの推進用エンジンを構成しており、これを泳鐘部と呼ぶ。泳鐘部は、水を後方に噴出してジェットエンジンのように作用する。泳鐘部の後方には生殖と摂食に特化した個虫が付着している。

今回、John Costelloたちは、画像追跡法を用いてシダレザクラクラゲにおけるマルチジェット推進システムの作用を正確に調べ、コロニーの前面で成長する若齢で体の小さな泳鐘がジェットを利用して進行方向を調節してコロニーを操縦していることを発見した。これに対し、高齢で体の大きな泳鐘は前方推力と逆推力を生み出してコロニーの昼夜移動における推進力を提供している。このパターンにより、コロニーの全てのメンバー(年少の個虫と年長の個虫)が重要な任務を遂行するようになり、その発生構造から協力状態が生じるようになっている。このように単純かつ効率的にマルチエンジンを組織化する方法は、水中推進車両の設計に影響を及ぼす可能性があるとCostelloたちは考えている。

doi: 10.1038/ncomms9158

英語の原文

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