神経性無食欲症患者の食べ物の選択について理解する
Nature Neuroscience
2015年10月13日
Understanding food choices in anorexia nervosa
神経性無食欲症の患者が常に低カロリー食品を選ぶことが、習慣的行動に関与することの知られた脳領域の活動増加と関連しているという報告が、今週のオンライン版に掲載される。この新知見は、神経性無食欲症の背後にある神経機構に関する手掛かりとなっている。
神経性無食欲症は複雑疾患の一種だが、常に低カロリー食品と低脂肪食品を選ぶという高度に定型化した特徴があり、その特徴は、患者が体重を増やす治療法を始めることに決めた後でも持続することがある。これまでには、被験者が食べ物を受動的に見た後で、それに対する応答としての脳の活動を調べた研究があるが、食べ物を能動的に選ぶことの背後にある機構は解明されていない。
今回、Karin Foerde、Joanna Steinglassの研究グループは、神経性無食欲症の治療のために入院した患者21人と対照群健常者21人が参加した研究で、健康に良い食品としての評価と味の評価がそれぞれ異なる食品を選択させた。参加者がこの食品の選択を重要なことと感じるように、選択された食品は実験後に軽食用として参加者に与えられた。この実験で、神経性無食欲症の患者が選んだ高脂肪食品の数は、常に健常者よりも少なかった。被験者が食品の選択を行う際には機能的磁気共鳴画像法(fMRI)が実施され、神経性無食欲症の患者が食品を選んでいる時に背側線条体という脳領域の活動が増加することが判明した。さらにFoerdeたちは、食品の選択と背側線条体の活動量の両方からその翌日の神経性無食欲症の患者の現実世界での実際のカロリー摂取量を予測できることも明らかにした。以上の知見は、背側線条体の活動の変化が、他の不適応行動の場合と同じように、神経性無食欲症においても何らかの役割を果たしている可能性を示している。
doi: 10.1038/nn.4136
注目の論文
-
12月24日
進化:ほかのチンパンジーよりもナッツ割りが得意なチンパンジーがいるNature Human Behaviour
-
12月24日
考古学:植民地化以前のアマゾンの住民は「田園都市」でアヒルに餌を与え、トウモロコシを食べていたNature Human Behaviour
-
12月13日
Nature Medicine:2025年の医療に影響を与える11の臨床試験Nature Medicine
-
12月13日
進化:最古の現生人類ゲノムから、4万5,000年前にネアンデルタールとの混血があったことが判明Nature
-
12月12日
進化:ワニはどのようにして皮膚を得たのかNature
-
12月12日
天文学:Firefly Sparkleが初期の銀河形成に光を当てるNature