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【動物学】ようやく解明されたウナギの回遊の謎

Nature Communications

2015年10月28日

Zoology: Eels' mystery migration finally revealed

Nature Communications

カナダの東海岸から大陸棚を経てサルガッソー海に至る2,400 kmにわたるアメリカウナギの成体の回遊の追跡調査が行われ、その結果を報告する論文が掲載される。この結果は、ウナギが産卵場への長距離の回遊ができることを示す初めての直接証拠となった。これまでウナギが長距離の回遊をするということは、ウナギの幼生の存在に基づいた仮説にすぎなかった。

バミューダ近くのサルガッソー海でウナギの幼生が発見されたのは今から1世紀以上前のことだった。この幼生が見つかった地点は、成体が見つかっている北米とヨーロッパの大陸の内陸河川から数千キロメートル離れていた。しかし、それ以降は、外洋でウナギの成体が記録されたことはなく、ウナギの外洋の産卵場やそこへの回遊経路の正確な位置についてほとんど何も分かっていない。

今回、Melanie Beguer-Ponたちは、カナダのノバスコシア州の河川と河口で採取された38匹の成体のウナギに衛星発信型の標識を取り付けて沿岸で放流し、その後のウナギの動きを追跡調査した。その結果、28個の標識から送信されたデータが収集され、8個の標識については大陸棚から外洋(水深2,000 m)までの動きが追跡され、1匹のウナギについては、サルガッソー海の北限までの動きが把握された。

こうした長い距離にわたるウナギの追跡は特に難しい課題となっている。衛星発信機がウナギの遊泳性能を損なうだけでなく、一定の期間が経過するとデータ回収のためにウナギの体から外れるように設計されているからだ。今回の追跡調査では2個の標識が捕食生物に食べられてしまったが、ほとんどのウナギからは約25日間の追跡データが得られ、サルガッソー海に移動した1匹のウナギは45日間にわたって標識を保持していた。

doi: 10.1038/ncomms9705

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