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安全な防御の裏側

Nature Neuroscience

2008年6月30日

The downside of a good defence

Nature Neuroscience

出産中に一時的な酸素欠乏を経験する赤ん坊は多く、そのため、なかには長期にわたる脳損傷を被る子どももいる。Nature Neuroscience(電子版)の研究によると、この影響を説明できそうな、低酸素が未熟な神経系の発達を妨げる特異的な経路が同定された。

酸素が完全に欠乏すると、神経細胞は急速に死ぬ。このことが損傷の残る理由の一部かもしれないが、低酸素濃度は、あらゆる細胞に進化の昔からある防御機構のスイッチを入れることも知られている。この機構は転写因子HIF-1に依存する。HIF-1は嫌気性代謝と血管形成を促進するが、HIF-1が神経細胞に何か特異的な作用を及ぼすかどうかは知られていない。

R PocockとO Hobertは、妊娠した回虫を非常に低い酸素濃度にさらし、生まれた子孫の神経系を調べ、特定の(すべてではないが)神経細胞の胎生期の移動と軸索伸長が極めて特異的に欠損していることを見いだした。低酸素は軸索伸長と移動に機能することが知られている受容体Vab-1の発現を増加させた。HIF-1や Vab-1を欠失した回虫変異体では特異的な神経細胞欠損は起こらなかった。

doi: 10.1038/nn.2152

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