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EGFRが皮膚がんを進行させる仕組み

Nature Cell Biology

2008年7月7日

How EGFR promotes skin cancer

Nature Cell Biology

上皮増殖因子受容体(EGFR)は皮膚がんの進行を助け、がん治療の重要な標的である。今回、EGFRへの腫瘍応答の基盤となる機構が突き止められた。

    EGFRは角化細胞とよばれる皮膚細胞を刺激して増殖を起こさせる一方で、角化細胞がさらに分化するのを止める働きもしている。これらの影響が合わさって、皮膚がんの進行が促進される。皮膚がんでは、EGFRは腫瘍発生にかかわる重要な遺伝子であるNotch1の発現を妨げることで、こうした影響を発揮することが明らかになった。

    Notch1遺伝子の発現とその活性は、角化細胞に由来するがん細胞系列と腫瘍では大幅に低くなっている。G P Dottoたちは、Notchタンパク質のシグナル伝達を活性化する可能性のある小型分子を探し、ヒト角化細胞と皮膚がんではEGFRがNotch1遺伝子発現の主要な負の調節因子であることを見いだした。EGFR依存性皮膚がんのマウスモデルでこの機構について調べたところ、EGFRが腫瘍抑制遺伝子p53の働きの阻害により、Notch1の発現を妨げているとわかった。

    EGFRはがん治療の重要な標的であり、いくつかのEGFR阻害剤は既に臨床での使用が認可されている。今回の知見は、EGFR阻害に対する腫瘍の応答の基盤となる分子機構の解明を進めるものとなるだろう。

doi: 10.1038/ncb1750

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