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【動物学】花の匂いがミツバチの攻撃性を抑制する

Nature Communications

2015年12月23日

Zoology: Feasting trumps fighting in honeybees

Nature Communications

攻撃的なミツバチが食物の報酬と関連付けられた花の匂いにさらされると、その攻撃性が低下することを明らかにした論文が掲載される。これは、警報フェロモンやその他のシグナルが花の芳香に圧倒されるからではなく、ミツバチが、食物源の価値に関する情報を含むシグナルの方に強く応答するからだとされる。

ミツバチの個体間コミュニケーションは化学シグナルを介して行われている。例えば、ミツバチは、同じ巣の仲間に危険の源への注意を喚起するための警報フェロモンを分泌し、それを受けたミツバチが攻撃的な行動をとるようになる。しかし、このように行動が攻撃化させることは大きな代償を伴う。ミツバチが毒針で相手を刺して、毒針が脱落して相手の体内に入ると、刺したミツバチは死んでしまうのだ。

今回、Morgane Nouvianたちは、警報フェロモンが分泌された後に、非常に重要な花の化学物質の存否がミツバチの攻撃的な行動にどのような影響を及ぼすのかを調べた。Nouvianたちは、羽根を回転させる装置によってミツバチを苛立たせることで誘発される毒針攻撃の回数を測定し、花の匂いから一般的に検出されるリナロールと2-フェニルエタノールという化合物が、ラベンダーの匂いと同様に、警報フェロモンによって誘発される攻撃的応答を抑制できたことを発見した。

攻撃的応答が抑制される原因が花の匂いによるミツバチの警報フェロモンの匂いの隠蔽ではないことと、こうした鎮静効果と花の匂いが貴重な食物の報酬をどの程度意味しているのかということの相関が明らかになったことが、今回の研究でとりわけ重要なポイントだ。この研究成果は、ミツバチの意思決定を調整する感覚混乱に関する新たな手掛かりとなっており、養蜂家がミツバチの巣を平静に保つ上で役立つ実用的応用にもつながる可能性がある。

doi: 10.1038/ncomms10247

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