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乳がんの新たな遺伝的危険因子

Nature Genetics

2009年3月30日

New genetic risk factors for breast cancer

Nature Genetics

乳がんの素因となる数カ所のゲノム領域が2つの大規模研究で同定され、その結果を報告する論文がNature Genetics(電子版)に掲載される。

特定の女性が乳がんになりやすいかどうかは、いくつかの環境的要因と生活習慣的要因によって決まる。このほかに、乳がんの発症に寄与する遺伝的感受性もあり、乳がんにかかった女性の第一度近親者の発症頻度は、乳がんの既往歴のない女性の親族の場合の2倍になっている。

ハーバード大学公衆衛生大学院(米国マサチューセッツ州ボストン)のD Hunterらとケンブリッジ大学(英国)のD Eastonらが実施した2つの大規模関連解析では、乳がんの素因と有意な関連が認められる複数のゲノム領域が新たに同定された。この関連は、NEK10遺伝子のように細胞増殖の制御に関連するタンパク質をコードする遺伝子や損傷DNAの修復に関与するRAD51L1遺伝子の近傍でみられた。今回の研究では、細胞の代謝に影響するタンパク質をコードする遺伝子も乳がんへの寄与に関係しているとされた。SLC4A7遺伝子は、腫瘍の微小環境のpHと関連しており、NOTCH2遺伝子とFCGR1B遺伝子は2型糖尿病と関連している。

こうした比較的高頻度の遺伝子多型が乳がんの発症に与える影響に関しては、その根底にある機構を正確に解明することが、乳がんの初期の徴候を理解し、予防となりうる方法を発見する上で非常に大事なことだと考えられる。

doi: 10.1038/ng.353

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