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生理:電離放射線による骨量減少の防止に干しプラムが役立つ

Scientific Reports

2016年2月11日

Physiology: Plumming the depths of spaceflight

Scientific Reports

干しプラムを食餌に加えることで、放射線治療や宇宙飛行の際に被曝する電離放射線による骨量減少の防止に役立つ可能性がマウスの研究によって明らかになったことを報告する論文が、今週掲載される。この研究結果は、宇宙飛行士とがん患者にとって重要な意味を持つ可能性がある。

地球の磁気圏(地球を取り囲む磁場)を飛び出して、その保護作用の及ばない条件下で長期間の宇宙ミッションを行う場合、そこでの電離放射線の被曝量は、国際宇宙ステーションでの被曝線量を超えて、骨量減少を起こすレベルに達する可能性がある。

今回、Ruth Globus、Ann-Sofie Schreursたちの研究グループは、骨量減少の防止を目指すさまざまな方法の効果と骨吸収(骨が分解されること)につながる骨髄細胞の遺伝子の発現を調べるために、5~10匹の雄のマウスからなる複数のグループを使って、骨量減少を防止すると考えられている抗酸化作用または抗炎症作用による介入方法を評価した。評価対象となった4つの介入方法は、抗酸化食カクテル、ジヒドロリポ酸、イブプロフェン、干しプラムをそれぞれ用いたものであり、いずれも加齢性骨減少を緩和する効果がすでに明らかになっている。それぞれのグループのマウスに(放射線治療に用いられる)ガンマ線または模擬宇宙放射線の形で電離放射線を照射する実験を行ったところ、干しプラムを用いた介入方法が、骨吸収に関連する遺伝子の発現を最も効果的に抑えることが判明した。また、この干しプラムを加えた食餌は、ガンマ線と模擬宇宙放射線のいずれを照射した場合も同程度の骨量減少防止効果が認められた。

上述の防止効果をもたらすプラムの有効成分を明らかにし、今回の研究で得られた知見をヒトにおいて再現できるかどうかを見極めるためには、さらなる研究が必要とされる。

doi: 10.1038/srep21343

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