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【発生生物学】齧歯類の背中の毛が縞模様になる過程

Nature

2016年11月3日

Developmental biology: How rodents earn their stripes

Nature

一部のマウスとシマリスの毛色が縞模様になる過程の背後にある機構について説明する論文が、今週のオンライン版に掲載される。今回の研究では、齧歯類の毛色パターン形成の一般的な機構が明らかになっており、他の動物における独特な身体的形質の進化に関する新たな知見がもたらされる可能性もある。

哺乳類の独特の斑点と縞模様の形成については十分な解明がなされていないが、今回、Hopi Hoekstraの研究チームは、背中に2組の暗色-明色-暗色の縞模様を持つヨスジクサマウス(Rhabdomys pumilio)の皮膚の発生を調べた。その結果、この縞模様を形成する機構が胚期に始まることが分かった。つまり、胚期において、発生の後の段階で最終的に明色の筋になる皮膚領域でAlx3遺伝子の発現が始まるのだ。Hoekstraたちは、Alx3遺伝子が色素産生細胞の調節因子を抑制し、それによって明色の筋が生じると断定している。

さらにHoekstraたちは、ヨスジクサマウスのような背中の縞模様を持つトウブシマリス(Tamias striatus)の毛色パターンの形成に同じような機構があることを見いだした。トウブシマリスは、約7000万年前に齧歯類(大部分のマウスとラットを含む)から分岐しているため、この新知見は、これらの毛色パターンの形成機構が複数の哺乳類種で独立に進化した共通の発生機構である可能性を示唆している。

doi: 10.1038/nature20109

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