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【神経科学】霊長類の脳の発生期における遺伝子発現マップ

Nature

2016年7月14日

Neuroscience: Gene expression map of developing primate brain

Nature

出生前と出生後の霊長類の脳内における遺伝子発現を示す新しいアトラスについて発表する論文が、今週掲載される。この高解像度のマップは、脳の発生過程だけでなく、神経発達障害(例えば、自閉症スペクトラム障害や統合失調症)の基盤となる過程に関する手掛かりをもたらすことが期待されている。

今回、Ed Leinたちは、アカゲザルの脳の発生に関する高解像度アトラスを作成し、妊娠初期から若年成体期までの遺伝子発現の経時変化を解剖学的に詳細なレベルで明らかにした。このアトラスからは、最もダイナミックな変化が出生前に起こり、それが出生後の数か月間で鈍化し、出生後の発育期の後期になってから皮質野が成体と類似した分子プロファイルを獲得するという意外な結果が明らかになっている。また、これまで神経発達障害に関連すると考えられていた複数の遺伝子が、発生中の新皮質で、それぞれの発達障害に特異的なパターンで共発現することも明らかになった。

今回の研究は、ヒトの発生に関わる遺伝子発現パターンが齧歯類より霊長類に似ており、全体の約9%の遺伝子については、脳の発生期にヒト特異的な発現パターンが見られることも示している。そして、アカゲザルをヒトの脳の発生と脳疾患の非ヒト霊長類モデルとして用いることの価値が認められ、このアトラスがヒトの脳の組織化の基盤をなす独特な遺伝子発現パターンを明確にする上で役立つ点で価値のあることも確認された。

doi: 10.1038/nature18637

英語の原文

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