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【気候科学】グレートバリアリーフでの白化現象と海面水温の関係

Nature

2017年3月16日

Climate science: Bleaching causes grief to the Great Barrier Reef

Nature

地球温暖化を軽減するための対策を直ちに実施して、サンゴ礁を深刻な白化から守る必要があるとした研究結果の報告が、今週掲載される。この研究では、過去20年間のグレートバリアリーフの詳細な分析が行われ、大規模な白化を引き起こした主たる要因の1つが異常高温であることが明らかになった。今後も温度上昇が続けば、さらなる白化現象が起こる可能性は高く、グレートバリアリーフのサンゴ礁系が修復不可能になってしまうおそれがある。

地球温暖化による海面水温の上昇は、熱帯のサンゴ礁で大規模な白化現象を引き起こしており、それによる損傷は、デリケートな生態系であるサンゴ礁にとって命取りになるようなレベルに達する可能性がある。2016年に発生した最も深刻な白化現象は、2015~2016年のエルニーニョ現象による記録的な高温によって引き起こされ、グレートバリアリーフのサンゴの90%以上が白化した。

今回、Terry Hughesの研究チームは、気候変動がサンゴに及ぼす影響をさらに解明するため、1998、2002、2016年にグレートバリアリーフで発生した大規模な白化現象の評価を行った。Hughesたちは、サンゴを個別に分析して、白化を起こしやすいサンゴと起こしにくいサンゴがある理由を調べた。その結果分かったのは、白化に明確な地理的分布があり、そのような分布に寄与する主たる要因が海面水温のパターンだったことだ。一般的な傾向として、白化しないサンゴは海水温が一般的に低いグレートバリアリーフの南端の方に分布していたことが判明した。現地でのサンゴ礁漁業と水質の管理は、異常高温に対する防御にはほとんどならなかったが、サンゴ礁生態系が白化現象から回復する際に役立つ可能性があるとHughesたちは指摘している。しかし、グレートバリアリーフが2016年に起こった深刻な白化から完全に回復する可能性は低く、サンゴ礁を保全するには今後の温暖化を抑制するための緊急対策を地球規模で迅速に実施する必要がある、とHughesたちは結論づけている。

doi: 10.1038/nature21707

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