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【動物行動】ハタネズミの深い愛情の背後にある神経回路

Nature

2017年6月1日

Animal behaviour: Neural circuit underlies a vole lotta love

Nature

一雄一雌の絆を生み出す脳内報酬系が社会的相互作用によって活性化する過程に関して1つの包括的な考え方が初めて示された。数少ない社会的一雄一雌の哺乳類の1つであるプレーリーハタネズミの観察結果は、特異な脳活動パターンが2個体間の絆の形成にどのように寄与するのかを理解する上で役立つ可能性がある。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。

成体が一雄一雌関係を形成する時、相手個体の認識と評価にいくつかの注目すべき変化が生じる。主要な変化の1つは、絆を形成しうる2個体がお互いの脳内報酬系を確実に活性化し始める時に起こるが、そうした活性化から絆が形成される際の正確な神経機構は解明されていない。

今回、Robert Liuたちの研究グループは、プレーリーハタネズミの社会的絆モデルを用いて脳内の皮質線条体回路を調べた。この回路は、動物が報酬を得るために自らの行動を変化させる能力を制御していることが知られている。Liuたちは、雄と雌のプレーリーハタネズミを6時間にわたって共同生息させて、その間の雌の皮質線条体回路の活動を記録した。その結果、皮質線条体の接続性の強さから個体間に絆の形成(1. 交尾行動と 2. 並んで身を寄せ合う行動を通して表される)が生じる速さを予測できることが判明した。また、Liuたちは、(光を介した)光遺伝学的技術を用いて、交尾のない社会的状況下で皮質線条体回路を周期的に活性化させる実験を行い、その後の雌の選好性(全くなじみのない個体ではなく配偶者を好むこと)に影響を及ぼすことができた。以上の知見は、皮質線条体の活動が絆形成行動と相関しているだけでなく、絆形成行動を加速させる可能性があることを示唆している。ただし、Liuたちは、皮質線条体回路がプレーリーハタネズミの絆形成行動を増強させることの必要かつ十分な条件であるかどうかを判断するためには、この仮説のさらなる検証が必要であることを認めている。

doi: 10.1038/nature22381

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