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【ゲノミクス】ミケーネ人とミノア人

Nature

2017年8月3日

Genomics: Of Mycenaeans and Minoans

Nature

ギリシャ本土出身のミケーネ人とクレタ島出身のミノア人を含む古代のヨーロッパ人種とアナトリア人種(合計19名)のゲノムデータを報告した論文が、今週のオンライン版に掲載される。この新知見は、青銅器時代にエーゲ海地方に出現し、ホメロスとヘロドトスに始まる古代の詩と歴史の伝統によって知られた最古の2つの著名な考古文化の起源に関する新たな手掛かりとなっている。

これまでの古代DNA研究で、初期ヨーロッパ農耕民の主たる祖先は紀元前7千年紀からギリシャとアナトリア西部に居住していた複数の極めて類似した新石器時代の集団とされている。それ以降、青銅器時代までのこれらの地域の歴史については、それほど明確になっておらず、ギリシャ本土とクレタ島の集団間の遺伝的類似性の程度とこれらの集団と他の古代ヨーロッパ人集団や現代ギリシャ人との類縁関係など数々の疑問が残っている。

今回、Iosif Lazaridisたちの研究グループは、合計19名の古代人(紀元前約2900~1700年のクレタ島出身のミノア人10名、紀元前約1700~1200年のギリシャ本土出身のミケーネ人4名、紀元前約2800~1800年のアナトリア南西部の出身者3名を含む)のゲノム全域のデータを解析した。その結果、ミノア人とミケーネ人が遺伝的に非常によく似ており、その約4分の3がアナトリア西部とエーゲ海地方の最初の新石器時代の農耕民を共通祖先としており、残りの大部分が古代のコーカサス地方とイランの集団を祖先としていることが判明した。一方、ミケーネ人は、ミノア人とは異なり、青銅器時代にユーラシアのステップ(東ヨーロッパと北ユーラシアを含む地域)に居住していた人々を祖先とする者もいた。また、Lazaridisたちの解析では、現代ギリシャ人がミケーネ人と共通の祖先を持ちつつも、新石器時代前期の祖先からの系統がさらにある程度希釈されたことも判明した。

doi: 10.1038/nature23310

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