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【微生物学】乳児の敗血症を防ぐ方法

Nature

2017年8月17日

Microbiology: Preventing sepsis in infants

Nature

シンバイオティクス・サプリメントを使用することで開発途上国における新生児の敗血症の症例数を著しく減らせることが、インドの乳児4,500人以上を対象とした無作為化試験によって明らかになった。シンバイオティクス療法は、プロバイオティクス細菌とプレバイオティクス栄養素を併用してプロバイオティクス細菌株の増殖を維持することを目的としており、乳児1人当たりの費用は約1米ドル(約110円)となっている。この研究結果について報告する論文が、今週掲載される。

敗血症は、細菌感染症の重篤な合併症で、そのために全世界で毎年およそ100万人の乳児が命を落としているが、その大部分は開発途上国の乳児だ。プロバイオティクス細菌は免疫系の維持に役立ち、乳児敗血症の予防法となる可能性のあることが提唱されているが、新生児を対象とした試験としては、わずかな数の小規模な試験しか行われていなかった。

今回、Pinaki Panigrahiたちの研究グループは、インドのオリッサ州の149の村で実施された合計4,556人の乳児を対象とする大規模な無作為化プラセボ対照比較試験の結果を報告している。この地域密着型試験では、フォローアップのコーディネーターに地元のボランティアを採用した。この試験で、新生児は生後2週間以内にプラセボまたはシンバイオティクス(フラクトオリゴ糖と腸内で有効に定着する細菌株として選ばれたLactobacillus plantarum)を7日間投与された。そして60日間のフォローアップを経て調査を行ったところ、シンバイオティクスを投与された乳児の5.4%とプラセボを投与された乳児の9%が死亡し、あるいは敗血症を発症していた。(今回の試験で、死亡した乳児の総数は10人で、6人がシンバイオティクスを投与され、4人がプラセボを投与されていた。)

Panigrahiたちは、今回の試験で、(妊娠35週未満で誕生した)早産児や誕生時の病状が重篤な新生児のように敗血症の発症リスクの高い者が対象になっていない点を指摘している。今回の試験結果が、開発途上国の敗血症リスクのある乳児集団全てに当てはまるのかどうかを判断するには、さらなる試験が必要になると考えられている。

doi: 10.1038/nature23480

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