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腸での鼎談

Nature Medicine

2011年11月21日

A trilogue in the gut

Nature Medicine

腸内で免疫系のB細胞と腸内細菌、腸管上皮層の間で交わされる三方向の会話が、正常な免疫と代謝を維持していることが明らかになった。免疫不全の患者では脂肪の吸収が悪く、体重が増えにくいことが多いが、今回の知見でこれが説明でき、新たな治療法も示唆される。 哺乳類の腸は、食物から栄養素を吸収するが細菌の侵入は防ぐ腸上皮細胞と、局在性の免疫細胞と、腸内にすみつく細菌から成り立っている。P Matzingerたちは、通常はB細胞がIgA抗体を放出して、微生物叢の顔ぶれと腸上皮の機能を適切に維持していることを発見した。しかし、B細胞をもたないマウスを作成したり、B細胞のIgA発現を阻害したりすると、腸上皮細胞が自己防衛にもっと積極的な役割を果たすよう、微生物叢が誘導する。しかし、この行動切り替えにはコストがかかり、食物からの脂肪の吸収に重要な働きをする腸上皮細胞遺伝子の発現が低下する。 これらの知見から、免疫不全患者に見られる原因不明の胃腸障害が説明できるかもしれない。Matzingerたちは、このような患者のデータが、マウスのデータと一致すると報告している。これらの結果は、このような症状にIgA治療が有効な可能性を示唆している。

doi: 10.1038/nm.2505

英語の原文

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