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【古生物学】謎めいた魚類進化の時系列を解明する手掛かりとなる化石

Nature

2017年8月31日

Palaeontology: Fossils provide clues to fishy evolutionary timeline

Nature

このほど化石魚類の分析が新たに実施され、謎めいた原始魚ビチャー(あるいはロープフィッシュ)が正真正銘の条鰭類の魚であることが判明した。この新知見は、魚類進化の解明を大きく前進させるものであり、その詳細が記述された論文が、今週掲載される。

現生する条鰭類(条鰭亜綱)は、現存する脊椎動物種の約半数によって構成され、グッピーとタラのように多様な魚が含まれている。この分類群は、デボン紀の「魚類時代」の直前の約3億8500年前に起源があると考えられている。その生き残りが構成する小規模な分類群に属するのがビチャー(ポリプテルス科)であり、この分類群にはチョウザメも含まれる。アフリカで生息が確認されているビチャーは、鱗に覆われたウナギに似た原始総鰭類で、これまで長い間にわたって分類が難しかったが、その他の条鰭類の現生姉妹群であることが認められた。ところが、その化石史は、わずか1億年しかさかのぼることができない。もしビチャーが他の条鰭類の魚よりも原始的なのであれば、その起源が他の条鰭亜綱魚類より古いと予想され、その化石記録に2億5000万年分の空白が生じる。

今回、Sam Gilesたちの研究グループは、約2~2.5億年前(原始恐竜が陸上で進化した頃)と年代決定され、広範囲に分布していた化石魚類スカニレピス目に属するFukangichthysの化石の高分解能コンピュータ断層撮影(CTスキャン)の結果を調べた。これまでスカニレピス目は、ビチャーに似ているとされていたが、これまでの研究報告で指摘されていた類似点は外見上のものだった。この新たなCTスキャンでは、保存されていた頭蓋骨を立体的に観察することが可能になった。そして、さまざまな物理的性質と12個の遺伝子のDNA塩基配列の解析と近縁種との比較が行われた結果、ビチャーがスカニレピス目に属することが実証された。その結果、三畳紀を起源とするスカニレピス目が、ビチャーに最も近縁な化石魚類となった。ところが、もしビチャーが本当に原始魚類であれば、現生条鰭類の起源は、これまで考えられていたよりもかなり遅かった可能性が生じる。今回の研究結果は、デボン紀から三畳紀に生息していた条鰭類の外観を有する化石の再検討をもたらす可能性がある。

この研究によって得られた知見を裏付けるCTデータと本論文に記述された化石材料の三次元表面ファイルは、本論文の出版によって利用可能となる(https://doi.org/10.6084/m9.figshare.c.3814360)。

doi: 10.1038/nature23654

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