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【創薬】注意欠如・多動症の新しい治療薬の臨床試験

Nature Communications

2018年1月17日

Drug discovery: Testing a new approach to ADHD treatment

Nature Communications

注意欠如・多動症(ADHD)の新しいクラスの治療薬の安全性を調べるための第I相臨床試験について報告する論文が、今週掲載される。ADHD治療薬の大半は、脳のドーパミン量を増加させる精神刺激薬だが、今回の小規模な臨床試験では、精神刺激薬以外の薬物を用いる治療法にある程度の見込みがあることが判明した。

ADHD患者は、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)神経伝達物質のシグナル伝達に関連する遺伝子が変異する頻度が非ADHD患者より高いことが人類遺伝学研究によって明らかになっている。そこで、Josephine Eliaたちの研究グループは、この臨床試験によってグルタミン酸作動系を標的とするADHD治療薬の効果を調べることを目指した。

Eliaたちは、過去に成人の認知症の治療薬候補として検討されたことのあるmGluR系アクチベーターの一種であるファソラセタム水和物(NFC-1)の試験を行い、少人数のADHDの青年(男性20人、女性10人)が参加した。これらの参加者は、mGluRシグナル伝達関連遺伝子の変異が認められる200人のコホートから選ばれた。その結果、用量を増やした4週間の治療計画において副作用の発生件数は少なく、大部分が軽度だった。また、NFC-1を投与することで、臨床的に検知可能な改善が得られ、参加者の親からは行動の改善を示す1つの指標が報告された。そして、mGluRシグナル伝達と最も密接に関連する遺伝子の変異が認められる参加者に最も顕著な改善が見られた。

今回の臨床試験で、青年期のADHD患者におけるファソラセタムの安全性が実証され、遺伝学的方法を用いてmGluR遺伝子に変異のある患者を分類することが、グルタミン酸作動系を標的とするADHD治療薬が効く可能性が非常に高い患者を判定する上で有用な可能性のあることが示唆されている。

doi: 10.1038/s41467-017-02244-2

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