注目の論文

悪さをする細菌

Nature Medicine

2009年8月24日

Misbehaved bacteria

Nature Medicine

腸内細菌叢の細菌の一部が結腸がんを引き起こすことがあるが、この好ましくない影響についての分子機構が明C Searsたちは、毒素原性Bacteroides fragilis(ETBF)の腸内定着によって結腸がんが発生する過程を調べた。その結果、ETBFも非毒素原性B. fragilis(NTBF)もマウスの腸内に定着するが、ETBFだけが結腸の炎症と腫瘍の引き金になることが判明した。このような症状には、インターロイキン17(IL-17)による細胞シグナル伝達の増加が伴う。極めて重要だったのは、IL-17又はIL-23が仲介するシグナル伝達を遮断すると、IL-17応答を増幅するサイトカインが、ETBFに起因する炎症と腫瘍形成を防いだことである。

今回の知見からは、ありふれた腸内細菌によって引き起こされる炎症誘発性がんについてIL-17依存的な経路が明らかになった。これは、ヒト結腸がんの機構に関する新たな手がかりであり、今後探究すべき新たな治療法への道を開くものである。

doi: 10.1038/nm.2015

英語の原文

注目の論文

「注目の論文」一覧へ戻る

advertisement
プライバシーマーク制度