注目の論文
【ナノテクノロジー】失明マウスの視力回復に役立つ人工光受容器
Nature Communications
2018年3月7日
Nanotechnology: Helping blind mice see again
失明したマウスの視覚応答を回復させる人工光受容器について報告する研究論文が、今週掲載される。
網膜色素変性や黄斑変性などの変性眼疾患は放置すれば視力低下や失明につながるが、こうした疾患は、視力回復を助ける人工器官を使って治療できる可能性がある。現在の人工器官は、ビデオキャプチャーカメラからの信号を検出するための光検出アレイを埋め込む必要がある。
Jiayi Zhangたちはこの論文で、金ナノ粒子で被覆した二酸化チタンナノワイヤーを人工光受容器として機能させるという開発成果を報告している。このナノワイヤーに光を当てると電圧が発生し、このナノワイヤーを失明したマウスに埋め込むと、発生した電圧が隣接するニューロンに伝わり、マウスの視覚応答の回復に役立った。また、マウスにグリーンとブルーの可視光と柴外光を当てると、このアレイによって電気的読み出しと瞳孔拡張が回復した。重要なのは、この埋め込み型人工器官が、マウスで忍容性が高く、最大8週間にわたって安定的に作動したことだ。
埋め込み型人工器官を利用して変性眼疾患を治療するという手法は、将来、臨床に応用できるかもしれない。また、今回の研究成果は、外部電源を必要とせず、色覚が可能になる高性能の人工器官の設計につながる可能性がある。その結果、長期視力低下のリスクの高い人々のための新たな治療の選択肢となることが期待される。
doi: 10.1038/s41467-018-03212-0
注目の論文
-
12月24日
進化:ほかのチンパンジーよりもナッツ割りが得意なチンパンジーがいるNature Human Behaviour
-
12月24日
考古学:植民地化以前のアマゾンの住民は「田園都市」でアヒルに餌を与え、トウモロコシを食べていたNature Human Behaviour
-
12月13日
Nature Medicine:2025年の医療に影響を与える11の臨床試験Nature Medicine
-
12月13日
進化:最古の現生人類ゲノムから、4万5,000年前にネアンデルタールとの混血があったことが判明Nature
-
12月12日
進化:ワニはどのようにして皮膚を得たのかNature
-
12月12日
天文学:Firefly Sparkleが初期の銀河形成に光を当てるNature