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【遺伝学】ヒト血漿プロテオームの地図

Nature

2018年6月7日

Genetics: Mapping out the human plasma proteome

Nature

ヒト血漿プロテオームの遺伝的地図について報告する論文が、今週掲載される。今回の研究では、遺伝的変異と個々のタンパク質の量との関連が明らかにされており、ここから新たな治療標的と、既存薬を別の疾患の治療に用いる方法が示される可能性がある。

血液中の血漿タンパク質は、さまざまな生物学的過程(成長、修復、シグナル伝達、輸送、感染症に対する防御など)にとって極めて重要で、それ自体が重要な創薬標的であり、疾患時には異なる調節を受けている場合が多い。しかし、個人個人の血漿タンパク質の量を決定する遺伝的要因についてはほとんど解明されておらず、これまでの研究では対象範囲が限定的だった。

今回、Benjamin Sun、Adam Butterworthたちの研究グループは、標的分子と特異的に結合する短いDNA鎖(アプタマー)を調べて、3301人の健常者の血漿に含まれる3622のタンパク質を定量した。試料は、INTERVALという英国の研究において採取されたものが用いられた。INTERVALとは、約5万人が献血者として参加し、献血から次の献血までの間隔を最適にして英国の国民保健サービスの輸血用血液を改善することを目的として行われた研究だ。今回の研究では、ゲノム領域と1478のタンパク質の間に1927の関連が同定され、そのうちの89%が今回初めて同定されたものだった。また、これらの部位と遺伝子発現調節領域の間にかなりのオーバーラップがあり、常にではないが、多くの場合に、タンパク質の量が遺伝子発現量によって決まることが示唆された。

さらに、研究グループは、今回の研究で判明した特定の遺伝的変異とこれまでの研究で同定された一般的な疾患に関連するゲノム領域との関連も明らかにした。疾患・遺伝的変異・特定のタンパク質の量の三者の関係を解明することで、新たな治療標的タンパク質や既存薬の新たな利用方法の発見だけでなく、現在開発中の薬の潜在的リスクの判定に役立つ可能性がある。

doi: 10.1038/s41586-018-0175-2

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