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【神経科学】睡眠ニーズの機構を明らかにする

Nature

2018年6月14日

Neuroscience: The mechanics of sleep

Nature

脳内タンパク質のリン酸化レベルが睡眠欲求を左右する可能性があることを示した論文が、今週掲載される。今回の研究は、睡眠ニーズの分子基盤の解明に手掛かりをもたらし、睡眠関係の治療における分子標的の候補を明確にしている。

哺乳類の睡眠-覚醒サイクルは、睡眠ニーズと実際の睡眠のバランスを取る恒常性維持機構によって作動する。Qinghua Liuたちの研究グループは、睡眠不足のマウスとSleepy遺伝子変異マウスにおける脳内タンパク質のリン酸化レベルを調べ、全体的なリン酸化レベルが睡眠ニーズと関連していることを明らかにした。睡眠はリン酸化レベルを下げるが、覚醒状態が長期間続くと過剰なリン酸化が生じ、睡眠ニーズが高くなったのだ。

Liuたちは、睡眠ニーズに応じてリン酸化状態が変化した80種の脳内タンパク質を同定し、その大部分がシナプスタンパク質であることを明らかにした。これは興味深い結果と言える。というのも、これまでの研究で、シナプス可塑性も睡眠に関わることが判明していたからだ。シナプス恒常性仮説によれば、睡眠を取ると、日中の活動によるシナプス結合が元の状態に戻り、恒常性が維持される。従って、シナプスタンパク質のリン酸化がシナプス恒常性と睡眠-覚醒恒常性の両方を維持する上で、中心的役割を果たしている可能性がある。

doi: 10.1038/s41586-018-0218-8

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