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【生物工学】真菌ゲノムのマイニングによって新しい作用機構の除草剤を発見する

Nature

2018年7月12日

Biotechnology: Herbicide with novel action found by mining fungi genomes

Nature

新規な作用機構を有する天然由来の除草剤が真菌ゲノムのマイニングによって同定されたことを報告する論文が、今週掲載される。除草剤耐性植物の増加に対して、今回の発見が現在のラインアップに切望されていた新しい除草剤の登場につながると期待されている。

今回、Yi Tang、Steve Jacobsenたちの研究グループは、糸状菌類のゲノムを探索した。糸状菌類の多くは、植物に定着し、植物を死滅させる化合物を産生するため、新しい除草剤の供給源として有望視されている。Tangたちは、特にジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(DHAD)を標的とする化合物を探した。DHADは、植物の成長に必須の生合成経路の、最終段階の代謝酵素だ。この生合成経路は動物には存在しないため、除草剤の開発における最も一般的な標的なのだが、これまでのところ、植物内で機能する天然のDHAD阻害剤は発見されていない。

Tangたちは、DHAD阻害剤をコードする生合成遺伝子クラスターを探し、糸状菌類の生存に必要と考えられている自己耐性をもたらすDHADのもう1つのコピーを介して、これらの遺伝子クラスターを同定した。また、Tangたちは、一般的な土壌糸状菌(Aspergillus terreus)を含む一定数の真菌種において、既知の真菌生産物であるアスプテル酸を産生する酵素をコードする1つの遺伝子クラスターを同定した。Tangたちは、アスプテル酸がDHAD阻害剤であることを明らかにし、実際にアスプテル酸がスプレー用除草剤として有効なことを証明した。

さらに、Tangたちは、今回発見した自己耐性遺伝子がアスプテル酸の影響を受けないこと、そしてこの自己耐性遺伝子を植物に導入すると、その植物は今回発見された除草剤への耐性を獲得することを確認している。以上の知見は、除草剤耐性植物の増加という問題への対処に役立つ可能性があり、耐性遺伝子を利用して有用な天然生物活性産物を発見する方法の潜在力を実証している。

doi: 10.1038/s41586-018-0319-4

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