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【進化】現代の植物の根の特徴は段階的に発達してきた

Nature

2018年8月23日

Evolution: Breaking ground on the gradual start of roots

Nature

現在のような植物の根になるまでに少なくとも2度の進化が起こっており、根の特徴的性質は徐々に発達してきたことを報告する論文が、今週掲載される。この結論は、現在知られている最古の陸域生態系で発見された移行期の根の化石から導き出された。

現生植物の根を定義付ける特徴は、分裂組織(根端部が根冠に覆われた自己複製構造体)であることだが、断片的な化石記録から根の分裂組織を見つけ出すのは難しく、根の進化的起源を解明することが難題になっている。

今回、Sandy HetheringtonとLiam Dolanは、アバディーンシャー(英国スコットランド)にある4億700万年前の堆積層ライニーチャートを調べた。ライニーチャートには、現在知られている最古の陸域生態系の化石が含まれており、その保存状態は極めて良好だ。このライニーチャートからは、植物、地衣類、およびさまざまな節足動物の化石が見つかっている。著者たちは、ライニーチャートで出土した化石試料を顕微鏡で観察し、ヒカゲノカズラ網の植物Asteroxylon mackieiの根の分裂組織を発見した。現生するヒカゲノカズラ網を代表する植物としては、ヒカゲノカズラや、他の高等植物(真葉植物)より早く分岐した系統である維管束植物(体内で水や栄養を移動させる組織を有する植物)がある。

著者たちは、A. mackieiの分裂組織には根毛も根冠もなく、表面組織の連続層で覆われていることを明らかにしている。A. mackieiの根のこうした構造は、維管束植物の中でも独特なものだ。著者たちは、A. mackieiの根が、現代の維管束植物の根に至る移行期のものと結論付け、この根冠のない移行期の構造がヒカゲノカズラ網植物で既に出現していたことを理由として、ヒカゲノカズラ網植物と真葉植物において、根冠のある根が、根を持たない共通祖先からそれぞれ独自に進化したとする学説を支持している。

doi: 10.1038/s41586-018-0445-z

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