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【生態学】北米でのマルハナバチの個体数減少が気候変動によって深刻化する恐れ

Scientific Reports

2018年10月19日

Ecology: Climate change may worsen bumblebee decline in North America

Scientific Reports

北米のかなり広い地域で、気候変動を原因とするマルハナバチ種の個体数減少が今後さらに進む可能性が高いことを報告する論文が、今週掲載される。

マルハナバチ種は、この100年間で分布域(この昆虫種が見られる地理的地域)が縮小し、個体数も減少している。その要因の1つが気候変動で、マルハナバチは頻発する極端な気温現象の影響を受けやすい。一部の花粉媒介生物種は、急激な気温の変化に対応して高緯度地域に移動しているが、マルハナバチ種の大半は、分布域の北限を超えて移動しておらず、分布域の南限では個体数が減少している。

今回、Catherine Sirois-DelisleとJeremy Kerrは、過去のマルハナバチの分布域変化のパターンとマルハナバチの女王バチの分散速度のデータを用いて、さまざまな気候の将来予測シナリオ(温室効果ガス排出量が、それぞれ2020年、2040年、2080年頃にピークを迎えるシナリオと、21世紀の終わりまで増加し続けるシナリオ)で想定される分布域変化をモデル化した。その結果、全てのモデル(温室効果ガス排出量が2020年にピークを迎えるという、気候変動の深刻さが最も小さなシナリオを用いた場合を含む)において、将来的に北米のかなり広い地域でマルハナバチ種の個体数が著しく減少する可能性が高いことが示唆された。マルハナバチの実際の分散速度(1年当たり10キロメートル)を用いた場合、モデル化されたマルハナバチ種の一部は、2070年に分布域が25%以上減少すると予測された。また、これらのモデルから、多くのマルハナバチ種の分布域が拡大して互いに重複する可能性が明らかになっており、分布域拡大の「ホットスポット」(主にカナダのケベック州オンタリオと米国ミシガン州北部)の存在が示唆された。これらの地域では、保全管理活動によって多くのマルハナバチ種が一度に恩恵を受ける可能性がある。

doi: 10.1038/s41598-018-32665-y

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