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【ゲノム編集】予測可能性を備えたCRISPR-Cas9法による病原性遺伝的バリアントの編集

Nature

2018年11月8日

Genome editing: Predictable CRISPR-Cas9 editing of disease genetic variants

Nature

機械学習法を用いて、病因となる遺伝的バリアントを、予測どおりに正確に編集する方法について報告する論文が、今週掲載される。今回の研究は、ゲノム編集研究の新たな可能性と遺伝性疾患の治療法候補を示唆している。

CRISPR-Cas9は、研究のためのゲノム編集を一変させたが、この技術の精度を確保することが極めて重要だ。いわゆるDNA「テンプレート」は、通常CRISPR-Cas9ゲノム編集に用いられ、正確なDNA修復を可能にし、あるいはゲノムに特定のDNA配列を導入する。こうしたテンプレートなしにDNA修復を行うと、精度が低下すると考えられている。

今回、Richard Sherwoodたちの研究グループは、機械学習を用いてゲノム修復結果を予測する方法を開発することで、テンプレートを用いない正確なCas9編集を実証した。Sherwoodたちは、約2000組のCas9ガイドRNA(gRNA)とヒトDNA標的部位のペアからなるライブラリを用いて、機械学習モデル「inDelphi」を訓練した。すると、inDelphiは、ヒトゲノムを標的としたCas9 gRNAの5~11%が、いわゆるprecise-50(ゲノム編集の実施回数の50%以上で、予想通りの単一の修復結果になること)を満たすと予測した。また、inDelphiは、テンプレートなしのCas9編集の標的に適した病原性遺伝的バリアントを同定し、予測することもできた。こうしたバリアントの一部はこれまで、Cas9編集の標的にならないと考えられていた。

Sherwoodたちはさらに、ヒト細胞を用いて、3種の疾患(ヘルマンスキー・パドラック症候群、メンケス病、家族性高コレステロール血症)に関連する約200の病原性バリアントを正確に編集、修復でき、precise-50基準が満たされることを実験的に確認した。

この研究知見は、テンプレートを用いずに正確なゲノム編集を行う方法を明確に示している。

doi: 10.1038/s41586-018-0686-x

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