注目の論文

オオコウモリは毛皮の中の微生物を個体間で共有する

Nature Ecology & Evolution

2018年12月11日

Fruit bats share their fur microbes with others

Nature Ecology & Evolution

コロニーで生息するオオコウモリたちは毛皮の中に同じ微生物群集を共有しており、それは時間の経過に伴ってみな同じように変化することを明らかにした論文が、今週掲載される。この知見は、オオコウモリのコロニーで形成される毛皮マイクロバイオームが画一的であり、個体ごとに異なる腸内マイクロバイオームとは対照的であることを示唆している。

動物の体内や体表に存在する微生物群集は、環境的・社会的要因の影響を受けており、宿主の行動および健康に影響を与えることが知られている。こうした要因は、環境変化に対する個体の反応と個体群の反応を共に変化させると考えられる。しかし、マイクロバイオームが経時的にどう変化するかを調べた研究の大多数は、ヒトまたは実験室内のモデル生物のいずれかに限られている。

Oren Kolodny、Maya Weinbergたちは今回、エジプトルーセットオオコウモリ(Rousettus aegyptiacus)の2つのコロニー(一方は飼育下、もう一方は自由生活)の毛皮および腸内のマイクロバイオームを分析した。コウモリの毛皮および肛門のスワブ検体を13週にわたって毎週採取した結果、任意の1日に採取された別々の個体の毛皮マイクロバイオームの方が、別々の日に同一のコウモリから採取された毛皮マイクロバイオームよりも類似していることが明らかになった。また、コウモリの毛皮に見られる揮発性化合物にも同じ結果が認められた。

コウモリの毛皮マイクロバイオームで共有されているこうした変化は、一緒にねぐらにつくなどのコロニーレベルの振る舞いがコロニー全体の微生物の変化を協調させるように働いていることを示唆している。対照的に、コウモリの腸内マイクロバイオームは個体レベルで極めて顕著に変動し、そうした変動は宿主の免疫や生理状態によって生じている可能性が高いことが分かった。

doi: 10.1038/s41559-018-0731-z

英語の原文

注目の論文

「注目の論文」一覧へ戻る

advertisement
プライバシーマーク制度