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【老化】マウスの皮膚の若々しさと老化の基盤となる仕組み

Nature

2019年4月4日

Ageing: Mechanism underlying youthful and ageing skin in mice

Nature

特定のコラーゲンタンパク質(COL17A1)によって推進される幹細胞同士の競合は、マウスの皮膚を「若々しく」保つ上で非常に重要だが、年月の経過による皮膚の老化の原因にもなっていることを明らかにした論文が、今週掲載される。今回の研究では、新たなアンチエイジング介入への利用が期待される物質も同定された。

老化した皮膚は、菲薄化、脆弱性、創傷治癒の遅れの他、角化細胞やメラノサイトなどの皮膚細胞の「リザーバー」の減少によって特徴付けられる。幹細胞競合とは、特定の幹細胞の子孫のクローンが他のクローンに対して増殖優位性を獲得する現象で、組織の適応度の維持に関わっていると考えられている。

今回、東京医科歯科大学の西村栄美(にしむら・えみ)たちの研究グループは、ヒトの皮膚と共通の特徴を数多く有し、同じように老化するマウスの尾部を研究対象として、幹細胞競合が皮膚の老化にどのような役割を果たすかを調べた。その結果、幹細胞競合は、加齢によって発現が低下するコラーゲンタンパク質COL17A1によって推進されることが明らかになった。また西村たちは、COL17A1の発現が幹細胞によって異なっており、COL17A1の発現レベルが高い幹細胞は、基底膜にしっかりとつなぎ留められ、基底膜に沿って対称に分裂し、近接するCOL17A1の発現レベルが低い幹細胞を排除することを見いだした。こうした幹細胞間の競合は、皮膚の全体構造と完全性を維持する上で役立っている。しかし、COL17A1の発現レベルは、加齢とともに、酸化または紫外線への曝露などのストレスによって低下する。そして、最終的に全ての幹細胞でCOL17A1の発現レベルが低下すると、皮膚が老化する。

また西村たちは、ヒト角化細胞において、COL17A1の発現を維持する2種類の化学物質(Y27632とアポシニン)を見いだした。これらの薬物は、マウスの創傷治癒を促進した。まとめると、今回の成果は皮膚の恒常性と老化における幹細胞競合とCOL17A1の重要性を明らかにしており、皮膚再生とアンチエイジング薬に向けた重要な一歩となった。

doi: 10.1038/s41586-019-1085-7

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