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【合成生物学】大腸菌の遺伝コードを圧縮する

Nature

2019年5月16日

Synthetic biology: Compressing the genetic code in E. coli

Nature

限られた数のタンパク質合成コードを使って全ての天然アミノ酸を産生できる人工大腸菌について報告する論文が、今週掲載される。今回の研究は、有用で特異な特徴を持つ人工細菌を設計する研究への道を開くものである。

遺伝コードは、A、C、G、Tと呼ばれる4種類の塩基(ヌクレオチド)でできている。3個の連続したヌクレオチドの配列である3つ組(すなわちコドン)は、そのそれぞれが、特定のアミノ酸の挿入か、タンパク質合成終了のシグナルを意味する。コドンは64通りあるが、アミノ酸は20種しかないため、同じアミノ酸を指定するコドンが複数存在する。これは、遺伝コードには冗長性が内在していることを意味している。

今回、Jason Chinたちの研究グループは、大腸菌の全ゲノムを再コードして、61通りのコドン全部ではなく59通りだけを使って天然のアミノ酸を全て産生できる大腸菌を作製した。また、Chinたちは、3つの終止コドンのうちの1つを再コードした。今回の研究では、遺伝コードの圧縮が可能であり、細菌は特定のコードがなくても生きられることが明らかになった。将来的には、こうした失われたコドンは非天然型アミノ酸をコードする新規配列で置き換えられる可能性があり、非天然型生体高分子を産生する人工細菌を設計する機会を創出する。

doi: 10.1038/s41586-019-1192-5

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