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【進化】シロイルカとイッカクの間で雑種形成があったことを示す博物館所蔵の頭蓋骨

Scientific Reports

2019年6月21日

Evolution: Beluga-narwhal hybrid identified from skull stored in museum

Scientific Reports

1990年に西グリーンランドで発見された頭蓋骨から得られた遺伝子を解析した結果、これが雌のイッカクと雄のシロイルカの第一世代の雄の子孫のものであることが明らかになったと報告する論文が、今週掲載される。この知見は、イッカクとシロイルカの間で雑種形成があった可能性を示す唯一の証拠となる。

今回、Mikkel Skovrind、Eline Lorenzenたちの研究グループは、デンマーク自然史博物館に保管されている頭蓋骨の歯から抽出したゲノムDNAの解析を行った。今回の研究では、この頭蓋骨のDNAと、頭蓋骨が発見された西グリーンランドの同じ地域に生息するシロイルカ8頭とイッカク8頭から得たゲノムのDNAとが比較された。この解析から、この頭蓋骨標本は54%がシロイルカで、46%がイッカクであることが示唆された。著者たちは、個体の性別を決定する一般的な方法であるX染色体数と常染色体数の比を用いて、この雑種が雄であると推定した。また、個体のミトコンドリアゲノム(全DNAのごく一部で、雌の生殖系列を介してのみ遺伝する)の解析から、この雑種の母親がイッカクであることが示唆された。

著者たちはまた、博物館所蔵の頭蓋骨から抽出した骨コラーゲンに含まれる化学元素(炭素と窒素)の同位体を分析し、これをイッカク18頭およびシロイルカ18頭の頭蓋骨の参照パネルの骨コラーゲンと比較した。その結果、頭蓋骨から抽出された試料に含まれる炭素同位体の濃度は他の頭蓋骨よりも高く、この雑種の食餌が親種のいずれとも異なっていたことが示唆された。著者たちは、この知見に基づいて、この雑種がイッカクやシロイルカよりも海底に近い場所(深海底域)で採餌していたと推測している。

doi: 10.1038/s41598-019-44038-0

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