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【進化】眼の化石に新たな見方

Nature

2019年8月15日

Evolution: A new view on old eyes

Nature

節足動物に光を遮蔽するメラニン色素があったことを示す最も古い記録が、5400万年前のガガンボの眼の化石から得られた。この発見について報告する論文が、今週掲載される。この眼の化石のさらなる分析では、ガガンボの眼の構造が化石生成過程でどのように変化したのかも明らかになった。この新たな知見で、他の化石化した節足動物(三葉虫など)の眼の構造に関するこれまでの解釈を見直す必要が生じる可能性がある。

昆虫や甲殻類などの節足動物に見られる複眼は、動物界で最も一般的な視覚器だ。複眼の進化の歴史は、少なくとも5億2000万年前にさかのぼり、初期の複眼の例を研究することで、節足動物の眼の視覚能力に関する手掛かりが得られる可能性がある。

今回、Johan Lindgrenたちのグループは、デンマークで見つかった5400万年前のガガンボの眼の化石の組成と微小解剖を研究し、現生種のガガンボの眼と比較して、化石生成過程で複眼がどのように変化したのかを調べた。その結果、化石標本と現生種の標本のいずれからもユーメラニン色素の証拠が観察された。この色素は、光受容体を光から保護する遮蔽体として機能している可能性がある。

ガガンボの眼の化石には、水晶体構造が石灰化した徴候が見られ、Lindgrenたちは、眼を保護し、視覚に関与するキチン質の組織が石灰化したものとする見方を示している。一部の絶滅した節足動物において、この石灰化が生きている間に起こっていた可能性が先行研究で示唆されているが、Lindgrenたちは、そのような鉱化作用があれば、視力障害が生じた可能性があり、むしろ、カルシウムの沈着は、化石の保存過程で生じたアーティファクトだとする考えを提唱している。今回の研究で得られた知見により、最古の節足動物群の1つである三葉虫の石灰化した眼に関する長年の仮説を再考する必要があるかもしれない。

doi: 10.1038/s41586-019-1473-z

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