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【生物学】脊椎動物の寿命を予測する遺伝子「時計」

Scientific Reports

2019年12月13日

Biology: Genetic ‘clock’ predicts lifespan in vertebrates

Scientific Reports

遺伝子マーカーを用いて、さまざまな脊椎動物(絶滅種を含む)の寿命を正確に推定するモデルについて報告した論文が、今週掲載される。この「寿命時計」は、あらかじめ選ばれた42種の遺伝子のスクリーニングを行って、CpG部位の密度を調べ、それぞれの脊椎動物種の寿命を予測する。これは、短いDNA断片であるCpG部位の密度が寿命と相関していることに基づいている。

生物種の最長寿命は、定義が難しく、その長さは、種によって大きく異なっている。最長寿命が遺伝子によって制御されていることが以前の研究によって示唆されているが、これまでのところ、こうした違いの原因となる遺伝的バリアントは見つかっていない。

今回の研究で予測モデルを構築するため、Benjamin Mayneたちの研究グループは、寿命が分かっている脊椎動物種(252種)の参照ゲノムを用いて、寿命の予測に利用できると考えられる42種の遺伝子を突き止めた。そして、これらの遺伝子におけるCpG密度から脊椎動物(絶滅種を含む)の寿命を高い精度で予測できることが判明した。

Mayneたちは、アフリカゾウのゲノムと平均寿命(65年)を基準に用い、自らの予測モデルを使って、マンモスとアンティクースゾウの寿命をいずれも60年と推定した。また、現生人類、初期人類とチンパンジーのゲノムを基準に用いたところ、デニソワ人とネアンデルタール人の寿命は約38年と推定された。さらにMayneたちは、その予測モデルを使って、ピンタゾウガメやホッキョククジラのような長寿の動物種の寿命を推定できることを示した。こうした長生きの動物種は、観察者より長く生きることが多いため、寿命を推定する研究が困難になることもある。

Mayneたちは、以上の知見は、現生種と絶滅種の生態と進化、絶滅危惧種の保護、持続可能な漁業を研究する際に役立つ情報になるという見解を示している。

doi: 10.1038/s41598-019-54447-w

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