動物学:生体蛍光は両生類に広く見られるものかもしれない
Scientific Reports
2020年2月28日
Zoology: Biofluorescence may be widespread among amphibians
生体蛍光(生物が光エネルギーを吸収して蛍光を発すること)が、両生類(サンショウウオ、カエルなど)に広く見られるという見解を示す論文が、Scientific Reports に掲載される。これまでに生体蛍光が観察された両生類は、サンショウウオ(1種)とカエル(3種)だけだった。
今回、Jennifer LambとMatthew Davisは、32種の両生類のそれぞれ1~5個体に青色光と紫外光を当てて、これらの個体が発する光の波長を分光測定した。その結果、研究対象の全ての両生類種がすべて蛍光を発したことが分かった。ただし、蛍光のパターンは、種によって大きく異なっており、斑点、縞模様、骨の形があり、全身蛍光もあった。
両生類は、緑色光や青色光に感受性のある桿体細胞が眼に含まれているため、生体蛍光によって低光量下で互いの位置を特定しているとLambとDavisは考えている。生体蛍光によって、両生類とその環境との間のコントラストが高くなり、他の両生類によって容易に検出できるようになるのだ。両生類の生体蛍光は、他の生体蛍光性の生物種で観察されているように、隠蔽擬態(カムフラージュ)、捕食者擬態、配偶者選択に役立っている可能性がある。
LambとDavisは、生体蛍光の基盤となる機構として、皮膚、分泌物、骨の中に蛍光タンパク質と蛍光化合物が存在していることを挙げ、あるいは一部の両生類の色素胞(色素を有し、光を反射する細胞)の化学組成と構造的組成が関係している可能性を指摘している。
以上の知見は、現生両生類の祖先が蛍光を発する能力を有しており、その結果、現生両生類の間に生体蛍光現象が広まったことを示唆している。
doi: 10.1038/s41598-020-59528-9
注目の論文
-
12月24日
進化:ほかのチンパンジーよりもナッツ割りが得意なチンパンジーがいるNature Human Behaviour
-
12月24日
考古学:植民地化以前のアマゾンの住民は「田園都市」でアヒルに餌を与え、トウモロコシを食べていたNature Human Behaviour
-
12月13日
Nature Medicine:2025年の医療に影響を与える11の臨床試験Nature Medicine
-
12月13日
進化:最古の現生人類ゲノムから、4万5,000年前にネアンデルタールとの混血があったことが判明Nature
-
12月12日
進化:ワニはどのようにして皮膚を得たのかNature
-
12月12日
天文学:Firefly Sparkleが初期の銀河形成に光を当てるNature