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寛容の引き金

Nature Immunology

2011年8月1日

Tolerance inducer

Nature Immunology

酵素IDOは、妊娠、感染、アレルギー、腫瘍といったさまざまな病態生理学的状況において免疫を抑制する役割を担っていることが知られているが、それ以外にも、免疫寛容のメディエーターの1つとして非酵素的な機能をもつことがわかった。この知見から、IDOが妊娠中の母子間免疫寛容といった長期にわたる免疫寛容の誘導因子として果たす役割が明確になった。このことは、酵素としてのIDOの機能では完全に説明できていなかった。

細菌感染の際には、免疫メディエーターであるγインターフェロンとその後の樹状細胞、エフェクターT細胞におけるアミノ酸枯渇によってIDOが迅速に誘導され、これが害を引き起こすおそれのある炎症応答を防ぐことが知られている。U Grohmannたちは、IDOが同じく可溶性免疫メディエーターであるTGF-βに応答してシグナルタンパク質として働き、フィードフォワードループを増幅して自身の生産を持続させ、樹状細胞に寛容をもたらす表現型を長期にわたって生じさせることを明らかにした。

doi: 10.1038/ni.2077

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