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ワクチン:SARS-CoV-2に対するRNAワクチン候補が第1/2相試験で免疫応答を誘導した

Nature

2020年8月12日

Vaccines: SARS-CoV-2 RNA vaccine candidate induces immune response in phase 1/2 trial

Nature

RNAワクチン候補「BNT162b1」の第1/2相臨床試験の中間報告がNature に掲載される。BNT162b1が18~55歳の健康な成人に強力な免疫応答を誘導したことが明らかになった。

メッセンジャーRNAを用いて免疫応答を誘導するRNAワクチンプラットフォームは、一般に安全と考えられており、SARS-CoV-2に対するワクチンの迅速な開発を促進してきた。BNT162b1は、筋肉注射用ワクチンで、SARS-CoV-2受容体結合ドメイン抗原をコードしている。現在、BNT162b1を含むいくつかのRNAワクチン候補については、安全性と有効性を調べる臨床試験に進めるかどうかを判定するための試験が並行して実施されている。

この論文で、Judith Absalonらは、現在実施されているBNT162b1の第1/2相臨床試験の中間データを報告している。この試験には、18~55歳の健康な成人45人(男性23人、非妊娠女性22人、白人は37人)が参加し、10 μg、30 μg、100 μgのBNT162b1投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付けられた。10 μgと30 μgのBNT162b1投与群の参加者は、21日目に2回目のワクチン接種を受けた。この臨床試験では、BNT162b1の忍容性はおおむね良好であるが、ワクチン接種後7日間に一部の参加者に軽度から中等度の副作用(注射部位の疼痛、疲労感、頭痛、発熱、睡眠障害など)が認められ、ワクチンの接種量が多いと副作用が重いことが分かった。

BNT162b1は、参加者に強力な免疫応答を誘導し、接種量が多くなると免疫応答の強さが増し、2回のワクチン接種を受けた場合の方が免疫応答は強かった。単回接種の場合には、いずれの接種量でも接種の21日後にSARS-CoV-2に対する抗体が検出され、2回接種の場合には、2回目のワクチン接種(10 μgまたは30 μg)の7日後にSARS-CoV-2中和抗体がかなり増加した。免疫応答は、10 μg投与群よりも30 μg投与群の方がはるかに強かった。しかし、30 μg投与群と100 μg投与群との間には、1回目のワクチン接種後に誘導された免疫応答に顕著な差は認められなかった。100 μg投与群の参加者は、副作用がより重かったため、2回目のワクチン接種は行われなかった。

参加者の中和抗体の量は、SARS-CoV-2感染から回復した患者と比べて、1.9~4.6倍多かった。この比較は、ワクチン誘導性免疫応答とワクチンの防御能を評価するための基準となるが、BNT162b1の有効性を判断するには第3相試験が必要だ。今回の臨床試験には、65~85歳の成人も登録されているが、第3相試験以降では、より多様な人々の登録が優先的に実施される。

doi: 10.1038/s41586-020-2639-4

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