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疫学:米国におけるCOVID-19の事象発生リスクをリアルタイムで評価するウェブサイト

Nature Human Behaviour

2020年11月9日

Epidemiology: A website to assess COVID-19 event risk in the US in real time

Nature Human Behaviour

米国のさまざまな規模の集会にSARS-CoV-2感染者が少なくとも1人存在するリスクを推定するインタラクティブなウェブサイトがNature Human Behaviour に掲載された論文で紹介されている。このウェブサイトは、個人および政策立案者が、特に被害が大きい地域においてSARS-CoV-2の感染拡大の封じ込めるための意思決定に役立つデータ駆動型の情報を提供する。

ロックダウン措置をはじめとする非医薬品介入(マスクの着用や物理的距離の確保など)によって疾病拡大の抑制を目指す大規模な取り組みが行われているにもかかわらず、米国では、2020年の終わりに、特に南部および西部でSARS-CoV-2の症例が再増加し、その後2020年秋には中西部で症例が再増加した。SARS-CoV-2の、強力でありながら立証されてないことの多い拡大は、「スーパー・スプレッディング」事象と呼ばれる大規模な感染事象によって悪化する。SARS-CoV-2のスーパー・スプレッディングは、多様な屋内イベントや大規模な集会で報告されており、1人の感染者が数十人(またはそれ以上の)感染者と関連付けられる。

Joshua Weitzたちの研究グループは、さまざまな規模の集会と関連する推定リスクを定量して可視化するために、「COVID-19リアルタイム事象発生リスク評価」(COVID-19 Real-Time Event Risk Assessment)というインタラクティブなウェブサイトを開発した。このウェブサイトは、郡レベルのリアルタイムの推定値に数学的なリスクモデルを適用させることで、日々更新される症例報告をリスク評価に結び付ける。研究グループは、政策立案者、保健所、個人を対象に、SARS-CoV-2の拡大の抑制に役立つ可能性のある意思決定に関連する最新情報を提供するために、疫学データを現実世界の状況へとトランスレートするウェブサイトを設計した。このサイトはすでに、ヨーロッパのいくつかの国でリアルタイムのリスク推定値を提供するように拡張されており、世界規模で運用できる可能性を秘めている。

Weitzたちは、この評価ツールに、郵便番号別の症例報告や、過小報告率の推定値の改善など、複数の因子に関するデータを加えることで、地域の推定値が改善される可能性があると述べている。なお、モデルでは、たとえ症状を有する人が集会に参加する可能性が小さくても、個人がイベントに参加する確率は大きく変わらないと仮定している。

doi: 10.1038/s41562-020-01000-9

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