注目の論文
アテローム性動脈硬化症に関連する多型
Nature Genetics
2011年9月12日
Variants associated with atherosclerosis
アテローム性動脈硬化は、動脈壁の肥厚といった特徴があり、通常、コレステロールの蓄積によって引き起こされる。アテローム性動脈硬化症の患者は、のちに冠動脈性心疾患や脳卒中を起こすことが多い。このほど、アテローム性動脈硬化症の指標に関連する遺伝的多型が同定された。この研究成果を報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。
無症候性アテローム性動脈硬化症の指標には、頸動脈壁(cIMT)の肥厚と動脈壁における大きな不定形のプラーク(粥状の隆起)の形成などがあり、ここから心血管疾患のリスクを予測できることが明らかになっている。今回、C O’Donnellたちは、頸動脈壁の肥厚と不定形の頚動脈プラークに関して、9集団(合計31,211人)の全ゲノム関連解析のメタ解析を行い、その後、別の11,273人に対する追試によって、このメタ解析の結果について再現性が確認された。このメタ解析で、O’Donnellたちは、ゲノム上の3つの座位が頸動脈壁の肥厚に関連し、2つの座位が頚動脈プラークに関連していることを見いだした。これらのゲノム領域のうちの2つに位置する多型は、冠動脈疾患にも関連していた。
O’Donnellたちは、細胞シグナル伝達、脂質代謝と血圧の恒常性に関係する経路が無症候性アテローム性動脈硬化症の発生に影響を与えるかもしれないと考えている。
doi: 10.1038/ng.920
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