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考古学:ポリネシアへの人類の定住をゲノムから明らかにする

Nature

2021年9月23日

Anthropology: Genomes across the Pacific

Nature

太平洋島嶼部の人類集団(21集団)に属する現代人(430人)のゲノムから、人類がポリネシアに定住した時期と航海経路を推定した結果を示した論文が、今週、Nature に掲載される。

ポリネシアは、地球表面の約3分の1を占める太平洋に点在する数多くの島々によって構成されている。この広大な地域への人類の定住は、人類の探検史上の1つの驚異とされるが、人類がポリネシアへ移住した時に個々の島に定住した時期と順序については、論争がある。

今回、Andrés Moreno-Estrada、Alexander Ioannidisたちは、現在の居住民430人から採取した試料によるデータセットを使用して、広範囲に分散した広大な太平洋諸島ネットワークの人類集団の詳細な遺伝的歴史を解明した。30~200人からなる家族集団が、二重船体のカヌーで数千キロメートルの外洋航海を敢行して、新たに見つけたポリネシア諸島群に定住していったことが、歴史家とポリネシアの言い伝えによって証明されている。今回行われたゲノム解析の結果は、人類の移住がサモア諸島から始まり、まず9世紀にラロトンガ(クック諸島)を通じて広がり、11世紀にはTōtaiete mā(ソシエテ諸島)、12世紀にはTuha'a Pae(オーストラル諸島)とツアモツ諸島に達し、最終的にはマンガレヴァを経由して、その後に巨石像の建設で知られるようになる島々、つまり北方のTe Henua ‘Enana(マルケサス諸島)、南方のライババエ島、そしてポリネシア諸島の最東端のRapa Nui(イースター島)に到達し、1200年頃に定住したことを示唆している。ポリネシアには、先史時代の巨石像の遺跡が存在する島がいくつかあるが、それぞれが孤立しており、数千マイルの外洋によって隔てられている。今回の研究で得られた新証拠は、これらの島が、遺伝的につながりがあることを明らかにしている。

doi: 10.1038/s41586-021-03902-8

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