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稀少なヒト疾患における遺伝子変異

Nature Genetics

2009年8月10日

Mutations in rare human diseases

Nature Genetics

INPP5E遺伝子の変異が一次繊毛の異常を引き起こすことを明らかにした2編の研究論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。一次繊毛は、哺乳類の体内のほとんどすべての細胞から突き出ているアンテナのような微小構造体である。これらの論文では、一次繊毛に異常があると、MORM症候群とジュベール症候群という2つの遺伝病を発症することが報告されている。

ブリュッセル自由大学(ベルギー・ゴスリー)のS Schurmansらは、MORM症候群の患者において、INPP5E遺伝子の変異を発見した。MORM症候群は、稀少な多臓器障害で、精神遅滞や肥満、先天性網膜ジストロフィー、男性の小陰茎症を特徴とする。Schurmansらの実験で、INPP5E遺伝子の変異によって一次繊毛の安定性が損なわれ、複数の発達障害が起こることが判明した。

他方、カリフォルニア大学サンディエゴ校(米国)のJ Gleesonらの研究では、INPP5E遺伝子に別のタイプの変異があると、ジュベール症候群が起こることが判明した。ジュベール症候群は、まれに発生する脳の形成異常で、平衡感覚と協調運動を制御する脳領域である小脳虫部の欠損や形成不全を特徴とする。ジュベール症候群の一般的な属性は、異常な頻呼吸、筋緊張の低下、非定型的運動と精神遅滞である。J Gleesonらは、INPP5E遺伝子の変異が一次繊毛の早期不安定化につながることを見いだした。

doi: 10.1038/ng.427

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