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動物行動学:ネオンテトラは順番待ちをして避難路の渋滞を防いでいる

Scientific Reports

2023年7月21日

Animal behaviour: Neon tetra fish form queues to avoid bottlenecks

Scientific Reports

ネオンテトラ(Paracheirodon innesi)の群れを使って、水槽の中で狭い空間を通って隣接する区画に避難させる実験が行われ、この魚が、順番待ち行動をとって、渋滞や衝突を起こさずに避難していたことが観察された。このことを報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。

実験に用いられた水槽は、壁で2つの区画に仕切られ、壁に開けられた穴は、直径1.5~4センチメートルの範囲内で調整できるようになっていた。今回の研究で、Aurélie Dupontらは、一方の区画に入れた30匹のネオンテトラ(体幅約0.5センチメートル、体長約3センチメートル)の群れをすくい網で穴に追い込んで、もう一方の区画に避難する際の行動を観察した。

ネオンテトラの避難に要した時間は、穴が大きい場合の方が、小さい場合よりも短かったが、避難する個体が穴を移動する速度は、穴の大きさにかかわらずほぼ一定で、最後の数匹だけが遅くなる傾向が見られた。また、ネオンテトラは、穴の大きさにかかわらず、穴から避難するために穴の周囲に集まったが、避難する個体間の物理的接触は観察されなかった。以上の知見をまとめると、ネオンテトラは、狭い穴から避難する前に待機または順番待ちをすることで、望ましい社会的距離を保ち、渋滞するのを避けている可能性が示された。これは、以前のアリの研究で観察された避難行動に似ており、渋滞が発生することの多いヒツジの群れやヒトの群衆で観察された避難行動とは対照的だ。

Dupontらは、今回の研究におけるネオンテトラの行動は、川に生息する野生種の群れが岩の間を通り抜ける行動を反映している可能性があるという見方を示し、今回の知見について、群れロボットの開発の他、自律走行車やヒトの群衆の通行を管理する方法にとって有益な情報として使用できるかもしれないと提唱している。

doi: 10.1038/s41598-023-36869-9

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