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動物行動学:雄マウスの仔育てに影響を及ぼすかもしれない細胞

Nature

2024年5月16日

Animal behaviour: Cells that might influence male parenting in mice

Nature

一雄一雌型のハイイロシロアシマウス(Peromyscus polionotus)において、仔育てに関連していると考えられる細胞集団が、脳の外側に発見されたことを報告する論文が、Natureに掲載される。この細胞集団は、このマウスに近縁の乱婚型のマウス種には存在せず、生物学的差異の進化が動物行動に影響を及ぼす可能性が示されている。

特殊化した機能を持つ細胞タイプは、動物の行動を制御することが知られている。しかし、新しい細胞タイプの出現の基盤となる機構と、その細胞タイプが行動にどのように影響するかは分かっていない。ハイイロシロアシマウスは一雄一雌型の種で、両親が仔の世話をする。これとは対照的に、その近縁種であるシカシロアシマウス(Peromyscus maniculatus)は、乱婚型のマウス種で、通常母親だけが仔の世話をする。これらの種は、生物学的差異が親の行動をどのように形成するかを研究する機会をもたらす。

今回、Andres Bendeskyらは、ハイイロシロアシマウスの副腎を調べ、遺伝学的手法を用いて、副腎皮質にこれまで検出されていなかった細胞層(zona inaudita)を発見した。これらの細胞は、プロゲステロンを20α‐ヒドロキシプロゲステロン(20α-OHP)に変換する酵素を発現していた。Bendeskyらは、このプロゲステロン誘導体20α-OHPがシカシロアシマウスよりもハイイロシロアシマウスに多く存在することを発見し、20α-OHPがハイイロシロアシマウスにおいて両親による仔育てを誘発するという見解を示している。Bendeskyらはまた、シロアシマウス属の他の種の副腎を研究した上で、ハイイロシロアシマウスのzona inauditaが比較的最近進化したものであり、過去約2万年以内に出現したと推定している。

doi: 10.1038/s41586-024-07423-y

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