古生物学:初期の小型哺乳類は成長がゆるやかだったかもしれない
Nature
2024年7月25日
Palaeontology: Small early mammals may have grown slower
初期の小型哺乳類は、現代の同程度の大きさの哺乳類よりも寿命が長く、発育期間も長かった可能性があるという論文が、Natureに掲載される。スコットランドで発見された、ジュラ紀中期(約1億6600万年前)のネズミサイズの生物の骨格化石に基づくこの発見は、この時期に哺乳類の発達に重要な変化が起こったことを示唆している。
現代の哺乳類は通常、幼少期には急速に成長するが、大人になると成長が止まる。成体の体格が小さい種は一般的に、体格の大きい種よりも発育が早く、成熟が若く、寿命が短く、出産数が多い。哺乳形類(初期の哺乳類とその最も近い絶滅親類)は、成体の体格が非常に小さかった(100グラム未満)が、寿命も長く、成長速度も現在の小型哺乳類より遅かった。しかし、このパターンの出現とその時期を理解することは、幼生化石の不足のために困難であった。
Elsa Panciroliraらは、スコットランドのスカイ島で発見されたKrusatodon kirtlingtonensisと名付けられたドコドン類(ジュラ紀中期の哺乳類の一種)の幼体および成体の部分骨格の発見を報告している。標本の生活史を調べるため、著者らは歯の成長段階を分析した。それぞれの死亡時の年齢は、成体は約7歳であり、幼体は7–24ヶ月で、乳歯から成体の歯に生え変わる途中であった。歯の長さと前肢と大腿骨の周囲長から、著者らはKrusatodonの成体の大きさをピグミートガリネズミ(約58グラム)とデグー(約158グラム)の中間と推定した。また、幼体の体重は成体の51–59%と推定された。著者らは、Krusatodonの発育は長い期間にわたって行われ、同程度の成体の体格を持つ現生哺乳類と比較して、最大寿命が著しく長く、その一部としてより長い期間に行われることを発見した。
Panciroli, E., Benson, R.B.J., Fernandez, V. et al. Jurassic fossil juvenile reveals prolonged life history in early mammals. Nature (2024)
doi: 10.1038/s41586-024-07733-1
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