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生き残り戦略

Nature Immunology

2008年9月22日

Survival strategies

Nature Immunology

微生物に対抗するためのシグナルタンパク質であるγインターフェロンが大量にあっても活性化免疫細胞が生き残れるよう、助ける分子が発見された。多くの寄生虫疾患にみられるような慢性感染の場合にも免疫応答が継続して起こるためには、この分子Irgm1が不可欠である。

インターフェロンは、ウイルスなどの細胞内病原体を全滅させるのを助ける抗微生物化合物である。高濃度のインターフェロンは周辺の細胞には有害なので、感染に応じてγインターフェロンを生産する免疫細胞自体が、どのようにして生き残るのかは、両立の難しい問題である。

C Fengたちは、この両立過程で重要な役割を果たしているIrgm1とよばれる分子を同定した。この分子は、γインターフェロンを生産する免疫細胞がγインターフェロンの毒性で死なないよう守る働きをする。Irgm1をもたないマウス由来の免疫細胞は増殖できず、γインターフェロンにさらされるとある種の自殺を遂げる。このマウスは、免疫細胞が少なくなって感染が制御できなくなり、すべてが死亡した。Irgm1とγインターフェロンを両方とももたないマウスは感染が起こっても生き残ることから、Irgm1がこれらの免疫細胞をγインターフェロンの毒性から守っていることが明らか

になった。

doi: 10.1038/ni.1653

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