注目の論文
網膜色素変性症における遺伝子突然変異
Nature Genetics
2008年10月6日
Gene mutation in retinitis pigmentosa
相当数の網膜色素変性症例の原因となる複数の突然変異が、1つの遺伝子に見つかった。網膜色素変性症は網膜の遺伝病で、視覚障害が生じ、場合によっては失明することもある。
これまでに26のゲノム領域が網膜色素変性症に関与すると考えられてきたが、それぞれの領域は、症例のわずかな割合についての原因でしかなかった。眼科学研究所(英国ロンドン)のS Bhattacharyaらは、祖先の起源の異なる複数の家系を調べて、EYS遺伝子(眼に発現する最長の遺伝子)に6種類の突然変異を同定した。ここからEYS遺伝子が、網膜色素変性症の初めての「主要」遺伝子であることが示唆されている。この結果を報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。
ヒト疾患関連遺伝子のうち、げっ歯類ゲノム上のオーソロガス遺伝子が阻害され、あるいは欠損しているものは4つのみであり、その1つがEYS遺伝子である点は特に興味深い。この遺伝子は、いろいろな昆虫の複眼で特定の種類の網膜構造と厳密に関連している。Bhattacharyaらは、この遺伝子が、ヒトの網膜においても、同様に光応答性細胞の信頼性を保持する役割を果たしているという見解を示している。今回得られた知見は、網膜色素変性症の解明に役立つと考えられ、新たな治療標的の特定にもつながる可能性がある。
doi: 10.1038/ng.241
注目の論文
-
7月11日
古代ゲノミクス:疫病に襲われた新石器時代の農民たちNature
-
7月10日
バイオテクノロジー: 培養肉の風味を改善するNature Communications
-
7月9日
微生物学:自閉症スペクトラム障害は子どもの腸内細菌叢の変化と関連するNature Microbiology
-
7月9日
ウイルス学:牛H5N1インフルエンザの感染と伝播Nature
-
7月4日
考古学:チベット高原でデニソワ人が活動していたことを示す動物の骨Nature
-
7月4日
古生物学:オオサンショウウオに似た捕食動物Nature