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免疫監視の第二の手段

Nature Immunology

2012年4月23日

Plan B for immunosurveillance

Nature Immunology

細胞の正常な抗原処理経路が、欠陥やウイルス感染のためにうまく働かないときには、免疫細胞に警報を出すために“第二の手段”をとるという。乾癬を始め、いくつかの自己免疫疾患にはこの発見が意味をもちそうだ。これらの病気には、今回見つかった分子システムが関係している。

異常な腫瘍タンパク質、ウイルス、細胞内病原体由来のペプチドは、免疫系の重要成分で非常に多型性の高い、MHCIとよばれる分子によって免疫系に提示される。この複合体を特異的免疫細胞が認識すると、これが引き金となって、免疫細胞が標的細胞を破壊する。そのため多くの病原体は、ペプチドをMHC分子に結合させるためのタンパク質処理経路を阻害することによって、免疫監視の目を逃れようとする。

Nilabh Shastriたちは、ERAAP(小胞体に見られる酵素で、MHCの結合ポケットに入るよう、ペプチドの形を整える)の機能を監視する細胞を発見した。ERAAPがないと、これが引き金となって、細胞は非古典的MHC分子Qa-1と結合した特異なペプチドFL9を提示する。このQa-1−FL9複合体を認識できる特異的T細胞が、このQa-1−FL9をもつ細胞を殺す分子を生産し、免疫応答の引き金となる。Shastriたちは、このQa-1−FL9応答性T細胞が比較的数多く存在し、ERAAPを介したペプチド処理ができなくなった細胞を除去することを、マウスで明らかにした。

doi: 10.1038/ni.2282

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