注目の論文
腎細胞癌の治療用ワクチン
Nature Medicine
2012年7月30日
Therapeutic vaccine for renal cell cancer
特異的抗原を発現している進行腎細胞癌(RCC)患者が、初めての治療用マルチペプチドワクチンIMA901に対し、良好な反応を示したとの報告が寄せられている。
治療用ワクチンは、病気にかかる前に投与するのではなく、病気にかかった人に薬物として投与されるという点で、従来型の予防用ワクチンとは違っている。癌の治療用ワクチンの開発は未だに難しい課題だが、それは、標的にするのに相応しい腫瘍抗原や、患者の治療反応性を予測するためのバイオマーカーなどといった重要な点についての知識に、まだ足りない点があるためである。
Harpreet Singh-Jasujaたちは、癌細胞上にヒト白血球抗原HLA-Aを発現するRCC患者の組織試料を利用して、複数の特異的ペプチドを同定し、これを用いてワクチンを開発した。このワクチンIMA901は、この抗原を発現するRCC患者特異的に、免疫応答を誘発した。第1相試験では、IMA901ワクチンによって複数のT細胞免疫応答が誘発され、それに伴って、本来、免疫応答を抑制する働きをするはずの制御性T細胞数が少なくなっていた。また、IMA901ワクチン投与に先立ってシクロホスファミド(現在さまざまな癌の治療に利用されている薬)を単回投与した患者では、制御性T細胞数はさらに少なくなり、生存期間の延長に結びついた。このワクチンの効果を評価するには、もっと大きな集団で、さらに臨床試験を行う必要があるだろう。
doi: 10.1038/nm.2883
注目の論文
-
12月13日
Nature Medicine:2025年の医療に影響を与える11の臨床試験Nature Medicine
-
12月13日
進化:最古の現生人類ゲノムから、4万5,000年前にネアンデルタールとの混血があったことが判明Nature
-
12月12日
進化:ワニはどのようにして皮膚を得たのかNature
-
12月12日
天文学:Firefly Sparkleが初期の銀河形成に光を当てるNature
-
12月12日
医学:マウスの子癇前症に対するmRNA療法の提供Nature
-
12月10日
加齢:脳の老化に関連する重要なタンパク質の発見Nature Aging