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新たながん治療法としてのBax活性化

Nature Chemical Biology

2012年5月28日

Activating Bax as a new anti-cancer approach

Nature Chemical Biology

新たなメカニズムで細胞死経路を活性化させる物質が、今週の『Nature Chemical Biology』で発表される。

Bcl-2ファミリーのタンパク質は、それぞれのタンパク質の活性化状態に依存して、細胞死を促進または阻止する作用を持つ複雑なタンパク質間相互作用ネットワークを形成する。がん細胞では、このネットワークに基づく活性のバランスが乱されて、がん細胞の生存が助長されている場合が多い。このファミリーを標的とする抗がん戦略は、細胞の生存を助長するファミリータンパク質の活性の阻害を意図するものが大部分となっている。このファミリーのBaxと呼ばれるタンパク質の活性化は、細胞死経路の活性化に十分なものである可能性がある。

Loren Walenskyたちが発表するBAM7という低分子は、Baxに立体配座の変化を引き起こすことによって細胞内でBaxを選択的に活性化させる作用を持ち、細胞死を促進する。Baxは正常細胞でもがん細胞でも発現しているため、この戦略ががん治療で有効であるのかどうかは確認する必要があるが、Baxの選択的活性化物質としてのBAM7の発見および検証は、がん細胞を殺すための新たな方法を示している。

doi: 10.1038/nchembio.995

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