注目の論文

神経芽細胞腫との闘い

Nature Medicine

2008年11月3日

Fighting neuroblastoma

Nature Medicine

患者の免疫細胞を利用して神経芽細胞腫を治療する方法の報告が寄せられている。

細胞傷害性Tリンパ球(CTL)はがん細胞と闘う力をもつ免疫細胞だが、長期間生きられないため、体内での抗腫瘍活性には限界がある。その理由の1つは、CTLの効率的な働きを促す適切な副刺激分子が、標的となる腫瘍細胞に普通は存在しないことである。M Brennerたちは、CTLを遺伝子操作してGD2という分子に対する抗原受容体を発現させることによって、この問題を克服した。GD2はヒトの神経芽細胞腫が発現する腫瘍関連分子で、著者たちは、CTLがこのGD2受容体を介して最適刺激を受け、生存率と抗腫瘍活性が高まるのだと判断している。

神経芽細胞腫患者での研究で、このGD2特異的受容体を発現するCTLが実際に対照のTリンパ球よりも長く生き残ることがわかった。この遺伝子操作CTLの導入には副作用はみられず、対象患者の半数で腫瘍の縮小が認められた。これらの知見からCTLは、ヒトの神経芽細胞腫をはじめ、おそらく他の腫瘍の治療にも、強力な武器になるだろうと考えられる。

doi: 10.1038/nm.1882

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